恋の方が苦しい

春だから。と言うわけではないけれど、
ショーの音源探しのつもりでCDを聞いていたら、
1時間くらい過ぎてから同じ曲がリピートしていたことに気がついて、
がっくりしてしまうことがよくあります。

昔、春うららかな日の散歩道で、
近い将来の夢をぽつりぽつりと語る人の横顔に、
「ねぇ、その風景の中に私はいるの?」
簡単な言葉を呑み込んだのは、
引き寄せたら私をすべり抜けていきそうで不安だったから。
幸せと寂しさが同じくらいあふれていて、
何も変わらずいられるなら、ずっと桜の下に座っていたいと思った。
あの時に吹いていた風を覚えている。

この間、その道を別の人と歩いていたら、
あの午後の風が吹いた気がして、肩越しの風景が懐かしくて、
せつなさがあふれだして、恋は少し苦しいと思い出しました。

恋は楽しいけれど、ハッピーエンドが見つからなくて苦しくなる。
「どうして苦しくなるの?別れるつもりで好きになるわけじゃない。」
と10代の終わりに女友達が言っていたけれど、
オブラディ・オブラダみたいなboy meets girlは夢の話。
夢だからハッピーでないといけない。

子供のころ、1番好きな絵本は「人魚姫」だったし、
家の中ではいつも母の好きな中島みゆきとテレサテンの歌が流れていたから、
恋はきっと苦しいものと思っていた。

パリで活躍するデザイナーのエッセイにありました。
「アイデアを産む苦しみよりも、失恋の方がもっと苦しい。」と。
仕事も恋も同じグラフに並べてしまう、そんな飾らなさが愛おしい。
女っぽさってそんなもの。

女は恋のプロになれると思う。
「女の恋は上書き保存」なんて薄情だと言われるけれど、
女が痛みを忘れるのは、それはもうそういうもの、プロだから。
ひとつの恋で自分も世界も変わるから、命がけのRPGみたいなもの。
ずっと考えて、きちんと傷ついて泣いて、恋を終わらせて、
それから、キレイな記憶だけを選んでスクラップすることも忘れない。

それではまた