波止場の女

秋ですね。
残暑お見舞いも出さないまま、
あっという間に夏が過ぎてしまいました。
いかがお過ごしでしょうか?

何だかぼんやり過ごしていたのだけれど、
何から話したら良いのかわからないくらい、
数珠つなぎにあれこれと、色んなことがありました。

ずっと旅に出たいと言いながら、波止場の女でいた気がします。
自由な空気と通り過ぎる人を見ているのが好きだった。
でも波止場にいながら、旅には出られない。
そんな事にやっと気がつきました。

そうしたら、旅のチケットが届きました。
ずっと思い描いていた遠いどこかの景色。
最初は嬉しくて浮かれていたけれど、だんだん不安になって、
街の灯りが恋しくて、泣きたいくらいに平穏に紛れたくなりました。

いつからこんな私になったのだろう。
ずっと、地図に書かれた道より、獣道が好きだったのに。

去年の秋のヨーロッパ、「ここまで電車で行くんだよ。」
そう見送られたのに、どうしても近いはずの回り道がしたくて、
見知らぬ土地で、ホテルの住所を書いたメモを片手に歩いた事がありました。
歩いても歩いてもたどり着かなくて、暗い夜道を行き過ぎる人もほとんどいない。

「今、迷子かもしれない。とても危険なことをしているのかもしれない。」
背筋に緊張が走ったら、なぜかとても愉快な気分になってきて、もうただ歩くしかない。
立ち止まることができなくて、あわい興奮を抱えていつまでも歩き続けました。
その時に、ああそうか、私は少し不安なくらいが楽しくて、
行き先もわからないまま、闇雲に進んでいるくらいが好きなのだな、なんて。

それから、昔、ひと筋縄ではいかない恋ばかりをする私に、
普通の道を行けばいいのにね、と、苦笑いをした友達を思い出しました。

それではまた